水晶(Rock Crystal、Quartz Crystal)とモスグリーン色のエピドート(Epidote)「緑簾石(りょくれんせき)」です。
水晶は二酸化珪素(SiO2)の結晶です。三方晶系に属した先の尖った六角柱状の結晶は清らかで美しく、一言では言い尽くせない魅力があります。Crystalはギリシャ語で“氷”を意味するクリタロスからきています。古代には永遠に溶けることのない氷だと考えられました。無色透明に結晶した姿に不変的な神聖な力を感じたのか、水晶は洋の東西を問わず、お守りや呪術に用いられてきました。クリスタルは結晶を称する言葉になり、まさに水晶は鉱物を象徴する存在です。
緑簾石(Ca2Fe3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH))はカルシウム、鉄、アルミニウムの珪酸塩鉱物で緑簾石グループの鉱物です。単斜晶系に属し、通常b軸方向に伸びた柱状結晶となり、柱面にはb軸に平行な深い条線が発達します。劈開は{001}に完全です。緑簾石は長柱状結晶が平行連晶して“簾”のように見えることからの命名で、色は特徴的な黄緑色です。その独特なピスタチオのような色合いからピスタサイト(Pistacite)とも呼ばれます。英名のEpidoteはギリシャ語で“増加”を意味する言葉からフランスの鉱物学者アユイ(René Just Haüy)によって1801年に命名されました。緑簾石の透明な結晶は見る方向によって緑色と黄色の色味が変わる多色性があります。また含まれる鉄が多いと黒色不透明になります。条痕は白色です。
この標本は、淡くスモーキーがかった水晶がモスグリーンの緑簾石を伴っています。緑簾石は水晶の内部に入った結晶と、水晶の表面に付いている結晶があります。水晶は大きな六角柱に、複数の小さな六角柱状結晶が入り組んだ複雑な造形です。透明度が高いので水晶内部の緑簾石も観察できます。水晶を貫いている緑簾石の柱状結晶や、刺さるように入っている繊細な針状結晶もあり眺めていて飽きない標本です。
産地:美姑県 涼山イ族自治州 四川省 中華人民共和国
幅:約51mm
奥行:約44mm
高さ:約71mm
重さ:139.9g
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